音楽趣味は「役に立つ」?

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古文・漢文の学習が役に立つのか?ってことを言うひとがあるそうです。2022年の日本人が現代かな漢字まじり文を書くときに大いに役立つという実用面(特に作家、物書きなら)や日本語の成り立ちを理解できていないのはさておき、そもそも「役立つ」というモノサシでしかものごとの価値をはかれないなんて、貧弱な思想ですよねえ。

かりに役立つということだけに価値をおくとしたら、音楽趣味なんか一円にもなりませんから無価値です。意味のないことに日々情熱を費やしているわけで、なにをやっているのかわかりませんね。音楽なんかに興味のないみなさんからしたら、なにをそんな血道を上げているのか、さっぱり理解できないでしょう。

音楽を追求したり、あるいは21世紀の現代に古典ラテン語(古代ローマの公用語)を学んだりするのでも、もちろんそれぞれ個々人の好き勝手であって、だれかに負担や迷惑をかけないのであれば、放っておいてくれと言いたい。

ただひたすら楽しく、おもしろくてたまらないから熱中しているだけで、それじゃ悪いのかと。役に立つとか(つまりお金になるとか)いうことはまったく考えたこともないですし、そこに価値をおいていません。美しい音楽を聴けば楽しいし癒しになる、だから次々と聴くだけ。

より美しい音楽はないか、世のなかどこに自分の知らない音楽美があるかわからないぞと思うから、どんどんさがして聴きまくるのをやめられないんです。原動力はとにかく「楽しい」「なんかおもしろそう」ということ。これに尽きます。きれいな人や景色を見て、あっいいねこれ、と感じるのは多くのみなさんに理解してもらえるような気がしますけど、それと根っこは同じです。

むろんこの世には音楽なんか聴かない、むしろ積極的に嫌いであるというひともたくさんいます。そうしたみなさんに向けて「この曲はいいからぜひちょっと聴いてみて」ということはもちろんしませんよ。いや、音楽愛好家向けにだって、みんなそれぞれ好みが違うから、押し付けにならぬようやっぱりそこは慎重じゃないとね。

ですから、あくまで自分のなかで、個人的音楽美意識の範疇で、いいぞと思えるもの、フィットするものを追いかけて、見つければうれしくてどんどん聴き、っていう反復・連続でいままで約60年の人生を送ってきました。充実していたと思います。

すくなくともぼくにとっては、美しく楽しい音楽を聴くことで精神的に安寧し、ひいては肉体の健康にも寄与していることなんで、その意味ではそりゃあ「役に立って」いますよ。これを理解できない他人に「そんなもんなにになる?」とか、とやかく言われる筋合いは一片もありません。

(written 2022.1.26)

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hisashi toshima 戸嶋 久
hisashi toshima 戸嶋 久

Written by hisashi toshima 戸嶋 久

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