2020年にしてプリテンダーズ初体験
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Pretenders / Hate For Sale
萩原健太さんのブログで知りました。
2020年新作の『ヘイト・フォー・セール』、プリテンダーズとしてはひさびさのアルバムになるそうですけど、プリテンダーズに特にどうという興味も抱いてこなかったぼくで、でも健太さんのご紹介と、どうしてだかなんとなく気になる部分があってSpotifyで聴いてみたんですね。クリッシー・ハインドだけはいままで気にしてきましたが、たぶんプリテンダーズのアルバムを聴くのは今回がはじめてになるんじゃないかと思います。だからきょうの文章はどうか笑って読み飛ばしてください。
アルバム題にもなっている1曲目の「ヘイト・フォー・セール」というタイトルは、コール・ポーター作の大スタンダード「ラヴ・フォー・セール」のもじりのような気がしますが、音楽的にはまったくなんの関係もないですね。プリテンダーズのこっちのほうはストレートな完璧ロックンロールで、爽快にぶっ飛ばすみたいな、いかにもな曲調。これは気持ちいいですね。
ちょっぴりラテン香味が効いているようにも聴こえる2曲目「ザ・バズ」を経て、3曲目の「ライティング・マン」はレゲエ、というかこれはダブですね。プリテンダーズってダブもやるんだというのは、ぼくは今回このバンド初体験ですから、なんとも言えません。ただ英国のバンドですからね、ジャマイカ音楽への親近感はわりとあるだろうなと。ダブになっているこの3曲目はかなり聴けますよね。
その後、4、5、6、7、8曲目と、ロッカバラードなども交えながらやはりストレートに王道ロック路線を進んでいるなと思うアルバム『ヘイト・フォー・セール』、こういったハードでスピーディなストレート・ロックは個人的に好みなので、すんなり楽しく聴けます。8曲目の「ジャンキー・ウォーク」もストレート・ロック、でありながらリズムにちょっとのおもしろみを感じたりもするのは、ぼくのラテン好き感じすぎ資質ゆえ?
ラテンといえばですね、続く9曲目「ディドゥント・ワント・トゥ・ディス・ロンリー」は鮮明なボ・ディドリー・ビートを使ってあります。つまりキューバ音楽でいう3・2クラーベのリズム・パターン。健太さんはジャングル・ビートということばをお使いですが、ロック・ミュージック界隈ではたしかにそう呼ぶことも多いみたい。リズム&ブルーズやロックやジャズなどの米英音楽で聴けるばあいのこのビート・スタイルは(カリブから来た)ニュー・オーリンズ由来じゃないですかね。
3・2クラーベ、あるいはひっくり返して休符から入る2・3クラーベとかの(アフリカン〜)カリブ/ラテンなリズム・パターンが、もうだ〜い好きなぼくなんで、プリテンダーズのこの新作『ヘイト・フォー・セール』でもこの9曲目がいちばんのお気に入り。それとダブな3曲目、幕開けでKOされる1曲目と、これら三つですかね。ラスト10曲目はしんみりしたバラードで締めくくり。これもいいです。
(written 2020.8.20)