ソウル II ソウルはぜんぶお茶の水で買った
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Soul II Soul / Volume IV — The Classic Singles 88–93
これも思い出話。
一時期夢中だったソウル II ソウル。このユニットの思い出というか、CD買って聴いたということだけですけどその思い出は、ぼくのばあい、お茶の水の街とともにあります。CDはぜんぶお茶の水のディスクユニオンで買ったんですよね。
1988年の4月に都立大学英文学研究室の助手になって給料がもらえるようになりましたが、と同時に他大学へ非常勤で英語を教えに行くようになりました。そのなかに明治大学の駿河台キャンパスがあったんです。商学部の夜間部へ毎週金曜日の夜に行っていました。
金曜日は、ぼくのシフトだと都立大のレギュラー勤務がお休みで、午後から高幡不動の中央大学に非常勤で行っていました。そこで2コマやって夕方前くらいに終わって、すぐ京王線に乗ってそのまま直通の都営新宿線で神保町まで。そこで降りてから夜の明大の授業まで時間があったんです。
駿河台の山の上ホテルのカフェでコーヒーを飲む時間まで、まず淡路町の藪蕎麦とか神保町のカレー・ショップ(だいたいボンディかマンダラ)とかで夕食をとり、そのままお茶の水まで歩いて行って楽器屋さん街へ。時間をつぶすのにはもってこいです。ギターや鍵盤楽器などをずっと触っていました。CDショップにも当然入っていました。お茶の水は音楽の街みたいな面がありますね。
お茶の水のディスクユニオンは明大通り沿いにあったと思います(といっても、お茶の水のディスクユニオンって三軒くらいあったはず、いまぼくが言っているのはJR御茶ノ水駅にいちばん近い店)。いまも同じ場所にあるかどうかわからないですけど、そこへ入っていろいろCDを物色していて、そう、マイルズ・デイヴィス(の特にブートレグ)関係なんかもけっこう買いましたが、そうしたなかに「キープ・オン・ムーヴィン」が出たばかりのソウル II ソウルもあったんです。
ソウル II ソウルが二枚目のシングル「キープ・オン・ムーヴィン」をリリースしたのは1989年。でもそのシングルは買いませんでした。それが収録されたファースト・アルバムが同年にリリースされたのをお茶の水のディスクユニオンで買ったんですよね。『クラブ・クラシックス Vol. 1』のタイトルじゃなく、アルバム題も『キープ・オン・ムーヴィン』になっていましたから、アメリカ盤でした。
ぼくは京王線沿線住人でしたからその意味では新宿に親近感があるし、メインの職場は東急東横線ですから渋谷がターミナル。だからもちろん新宿や渋谷のCDショップにも頻繁に通っていたんですけど、お茶の水のディスクユニオンもよく入りびたっていたんです、金曜日の夜だけですけどね。
ソウル II ソウルのことは、そのお茶の水のディスクユニオンで発見したというか、たぶんショップ内でかかっていたか、あるいはCDジャケットを見て魅力的と思ったかなんかで買ったんだったろうと思います。もう30年以上も前のことなんで、くわしいことは忘れてしまいました。
とにかく買って帰ったソウル II ソウルの『キープ・オン・ムーヴィン』の特に1曲目のタイトル曲が最高にカッコよくて、一発で好きになってしまったわけですけど、だから毎週金曜日にお茶の水へ行くと、ディスクユニオンで似たような音楽がないか、さがしたりするようになりました。1980年代末〜90年代初頭ごろの話ですからソウル II ソウルやグラウンド・ビートは最新流行でしたよね。
明大夜間部の勤務前、あるいはばあいによっては授業と授業のあいだの休み時間に(それほど場所は近接していた)ディスクユニオンに行っていたわけで、ヒマ時間をつぶすといえば音楽しかないわけですからねえ。その後、セカンド、サード、とソウル II ソウルのアルバムはどれもお茶の水ディスクユニオンで買いました。
もちろん買ってもそのまま聴けるわけじゃなく、授業が終わって自宅へ帰るまで待たなくちゃいけないわけです。明大駿河台キャンパスの夜間は終わるのがこりゃまた遅くて、夜間部なのになぜか3コマ目まであって(多くの大学は2コマ)、ぜんぶ終わると22時を過ぎちゃっているので、そこからつつじヶ丘の自宅へ帰りつくのは23時前後になってしまいます。
だから数年やるとちょっとしんどくなってきて、お世話してくださったかたに相談して、明大前駅(京王線、井の頭線)の昼間部に移してもらいました。それをやはり同じく毎週金曜日午後にやっていたわけで、だから中央大のほうは辞めることにしました。
そのころにはぼくのソウル II ソウル熱は冷めていたといいますか、1993年リリースの(四作目にあたる)ベスト盤『Volume IV — The Classic Singles 88–93』まではよかったと思いましたけど、その次95年の『Volume V — Believe』がつまんなくて、それでもうすっかり興味をなくしてしまいました。実際、このユニットもさらに一枚リリースして90年代後半には解散というか消滅したようです。
(written 2021.1.4)