セヴンティーズ・ソウルまっしぐら 〜 ドゥラン・ジョーンズ&ジ・インディケイションズ
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Durand Jones & The Indications / Private Space
萩原健太さんに教えてもらいました。
ドゥラン・ジョーンズ&ジ・インディケイションズについては、以前ぼくもちょこっとだけ触れたことがありますね。完璧に1970年代黄金時代ふうのレトロ・ソウルをやる連中で、甘茶的にスウィートなのがとてもいいんですよね。
そんなドゥラン・ジョーンズの最新アルバム『プライヴェイト・スペース』(2021)もまたそんな路線まっしぐら。いったいいま何年だ?と一瞬頭が混乱しそうになるほどのヴィンテージ・ソウル志向ぶりで、ぼくはいい気分。
特に1曲目「ラヴ・ウィル・ワーク・イット・アウト」がもう最高じゃないですか。これが冒頭にあるおかげで、それだけで、このアルバムの印象が決まってしまうくらいのミディアムなスウィート・ソウルぶり。これはいい!しかも聴こえるヴァイブラフォンはジョエル・ロスの演奏なんですって。どういう縁かなあ。控えめに入るストリングスもいいよねえ。
もうこれ一曲だけでおなかいっぱいというくらいこの1曲目が大好きなんですが、実際、ドゥラン・ジョーンズらは、アース・ウィンド&ファイアっぽさに寄りつつ、70年代なかばのブルー・ノートとかCTIふうというか、ディスコ的なサウンド・メイクも聴かせつつ、そのへんの時代感に白羽の矢を立てて、マニアックなソウル・ミュージック愛を炸裂させています。
でもこのアルバムのグルーヴには、確実にいまの時代っぽいループ感もただよっていたりして、そういった加減というか案配もなかなかうまいぐあいにやっていますよねえ。いい曲揃いですし、フルートとか、ハープとか、ちょっとチープな女声コーラスとか、ここぞのところでここぞの要素を散りばめているのもニクイところです。
いまの時代のR&Bにイマイチなじめない部分もあったりする身としては、こうしたソウル・ミュージックはホッと安心できて、いいんです。こういったあたりにソウル・ミュージックの未来があるだとか領域拡張だとか、そういうことは考えませんけどね。
(written 2021.9.1)